精子検査について

男性のブライダルチェックについて

ブライダルチェックをご存じでしょうか?最近は、メディアでも取り上げられるようになってきましたが、まだその内容について知っているという方は少ないようです。ブライダルチェックは、不妊に悩んでいるカップルが行うべきことであることに間違いありません。現在、不妊の原因の約半分は男性にあると考えられていますが、これまではあまり男性のブライダルチェックの環境は整っていませんでした。近年の研究でも、不妊の原因は男女どちらにもあることがわかってきています。すなわち、男女が協力して治療することで、妊活を成功に向かわせることができるのです。この記事では、男性のブライダルチェックについてご紹介します。

男性のブライダルチェックとは

男性のためのブライダルチェックでは、男性の生殖器の働きをチェックします。これにより、精子のクオリティや数量に異常がないかどうかを調べ、もしも異常があった場合には適切な治療を行います。男性に不妊の原因がある場合でも、本人には自覚症状がほとんどないため、不妊の問題を抱えているカップルは、女性だけではなく、男性の機能についても調べなければ、適切な治療が施せません。男性のブライダルチェックにより治療すべき点が見つかった場合は、投薬や手術により改善を図ることが可能になります。

男性のブライダルチェックができたもうひとつの理由

ご紹介したように、男性のためのブライダルチェックは、不妊の原因が男性にもあることがわかってきたことから行われるようになりました。しかし、これまでは妊活外来自体、産婦人科で行われており、これが男性にとって妨げになっていました。産婦人科は、女性がかかるところですから、男性にとっても女性にとっても、男性がその空間にいることに違和感を覚えてしまうことは、ある意味、当然のことだといえるでしょう。そこで誕生したのが、男性のブライダルチェックです。この男性妊活外来により男性も気楽に検査を受けられるようになったことで、不妊治療に新たな道が開けたといえるのではないでしょうか。

不妊治療はカップルで

男性のブライダルチェックにより男性の精子の状態を確認することで、不妊に悩むカップルに対して適切な治療を行うことができます。現在、不妊症に悩んでいるカップルは、カップル全体の15%程度だといわれており、適切な治療のためには、男性の精子の状態を知ることがとても重要です。

不妊の原因については、世界保健機関(WHO)もすでに、男性が半分程度は関わっているとしています。特に日本においては、男女ともに結婚の時期が遅れており、40歳を超える女性の出産もめずらしくなくなっています。30歳代も半ばを過ぎると、ただでさえ女性が妊娠できる確率は下がってしまうため、子どもを望んでいるのであれば、なるべく早く、正しい妊活を行うことで妊娠の確率を上げる必要があるでしょう。

しかし、いくら女性が不妊治療を行っても、男性の精子に問題がある場合は、それは無駄な努力になってしまいます。妊娠が難しくなる年齢にさしかかった女性であれば、パートナーの精子に問題があるとわかれば、通常の方法で妊娠を望むのではなく、体外受精など、ほかの方法を考える必要があるでしょう。

男性の生殖能力を把握することは、子どもを授かることを望むカップルにとって無視できないことです。不妊治療はカップルで行う。これはとても重要なことなのです。

子どもを望むなら男性もブライダルチェックを

ブライダルチェックは、結婚を前にした女性が、出産の準備のために、そのための器官が健康な状態であるかどうか検査してもらうものでした。子どもを望む男性は、女性同様、このブライダルチェックを受けることが望まれます。ブライダルチェックにより、生殖機能が正しく働いているかどうかチェックする人は増えてきているようです。

結婚してから男女の生殖機能に問題があることがわかると、それは今後の夫婦関係にも大きな影響を与える可能性があります。結婚後に無精子症が判明するよりも、結婚前にそれがわかっていれば、早く治療を施せるなど、対応の方法や選択肢が多くなるのです。

妊活に取り組んでいるというカップルで、男性がブライダルチェックを受けていない場合は、これを受けることをおすすめします。子どもを授かることを望むのであれば、男女の協力が必要不可欠です。

ブライダルチェックを受けるべき男性とは

妊活中の男性は、ブライダルチェックを受けるべきですが、現在、妊活中ではなくても、子どもを授かることを望む男性は、できれば早めにブライダルチェックを受けたほうがよいでしょう。

たとえば、昔、サッカーなどの球技の最中に、ボールが睾丸にヒットするなどの経験をした人は少なくありません。このような人は、不安を感じているなら、ブライダルチェックを受けてみるとよいでしょう。男性専用の妊活外来ができた今なら、産婦人科を訪れる必要はありません。男性の専門医による診断、アドバイスを受けられることも大きなメリットだといえます。

ブライダルチェックで行われる検査

ブライダルチェックでは、生殖機能の健康状態をチェックすることになります。精子の状態は、常に一定ではないので「一度受けて健康だったのでそれで終わり」にするのではなく、できれば定期的に受けることが望まれます。

超音波検査

超音波検査は精巣の健康状態をチェックする検査です。超音波を陰嚢に当て、精巣に異常がないかどうかをモニターで確認します。痛みを感じるような検査ではありません。前立腺の病気を見つけることも可能です。

性感染症検査

性感染症は不妊の原因になります。ひどいものは赤ちゃんに影響を及ぼすこともあるので、子どもを授かることを望むのであれば性感染症検査を外すわけにはいきません。性感染症は、薬の投与により治せるものがほとんどなので、結婚・妊活を考えるのであれば、必ずチェックしておきましょう。

性感染症には、梅毒、ヘルペス、クラミジア、C型肝炎、B型肝炎、HIV、淋病など、さまざまなものがあります。

・梅毒

梅毒は非常に怖い病気です。梅毒トレポネーマという細菌が原因で、主に粘膜や皮膚を介して感染します。したがって、セックスの際に感染する可能性が高い病気です。梅毒を引き起こす細菌が体の中に入ってしまうと、リンパ節から血の流れにのって体全体に広がってしまいます。妊娠中の女性が梅毒に感染すると、胎児にも感染することがあり、その際は早産、死産などの原因にもなりえます。

・ヘルペス

ヘルペスは、感染力の非常に強いヘルペスウイルスにより発症する病気です。小さな水ぶくれが性器などに出現します。ウイルスが存在している粘膜、皮膚との接触により感染します。

・クラミジア

クラミジア・トラコマチスという最近が引き起こす病気がクラミジアです。セックスにより男性の尿道、のどの粘膜、女性の子宮頸管などに感染します。男性は排尿痛やかゆみにより症状を自覚しやすいのですが、女性は感染に気づかない場合もあります。そのため、感染しやすい病気だといえるでしょう。現在、日本ではかなり増えている性感染症です。似た症状を持つ病気に淋病があります。

・C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが引き起こします。このウイルスを保有する人の血液が、ほかの人の体内に入ると、その人も感染します。そのため、セックスでも感染する可能性はありますが、可能性はそれほど高くはありません。タトゥーや汚染された注射器などにより感染する可能性の高い病気です。

・B型肝炎

B型肝炎は、HBVと呼ばれるB型肝炎ウイルスにより発症する肝臓の病気です。C型同様、血液感染で感染します。日本では、過去に予防接種の際に、注射器の使い回しによる感染者が多く出たことでも知られています。B型肝炎に感染した親から感染する場合もあります。ただ、現在の感染ルートは、成人の場合はほとんどがセックスです。症状が出にくいため、知らず知らずのうちに他人を感染させることの多い、怖い病気だといえます。

・HIV

HIVは、Human Immunodeficiency Virusの頭文字をとったもので、人の免疫システムであるリンパ球などに感染するウイルスです。このHIVが、免疫システムの細胞内で増殖すると、免疫細胞が死滅していくため、免疫力が失われていきます。そして、さまざまな病気に感染しやすい状態となります。このときに発症する特定の病気が23種類あり、これらを発症した状態がAIDSです。HIVは、血液や精液、膣分泌液などに多く含まれているため、セックスでの感染が非常に多いウイルスです。現在、HIVを完全に体内から取り除くことは不可能ですが、薬の投与によりAIDSの発症を抑え、普通の生活を送ることが可能になっています。しかしながら、早期発見するに越したことはありません。

性感染症の検査は特別なものではありません。尿検査、もしくは血液検査にて検査可能です。

ホルモン検査

ホルモン検査は、血液を採取し、そこに含まれるテストステロン、卵胞刺激ホルモン、プロラクチン、黄体形成ホルモンについて検査します。

・テストステロン

テストステロンは、男らしさを作るホルモンです。思春期の第二次性徴のときに分泌量が増えるホルモンとしても知られています。このテストステロンは、歳をとると減少していきますが、ストレスなどを原因に量が減ってしまうことがあります。テストステロンが減ると、性欲や朝の勃起がなくなったり、筋力の衰えが目立ったりしてきます。当然、生殖能力にも影響するため、妊活前にチェックしておいたほうがよいでしょう。

・卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)

卵胞刺激ホルモンは、FSHとも呼ばれ、脳にある下垂体前葉から分泌されます。LHと呼ばれる黄体形成ホルモンも同じ場所から分泌されるホルモンで、これらのホルモンは性腺刺激ホルモンとも呼ばれます。卵胞刺激ホルモンは精子の生成を促すことが役割で、黄体形成ホルモンは、テストステロンの生成を促すことが役割です。したがって、これらが減少してしまうと、生殖能力が低下してしまいます。

・プロラクチン(PRL)

プロラクチンも脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。生殖に関わる作用を持つホルモンで、男性の場合、射精や性欲に影響を及ぼします。

ブライダルチェックでは、これらのホルモンをチェックすることで、生殖機能の健康状態を推測します。

精液・精子の検査

精液・精子の調査は、実際に精液を採取して行います。自宅で採取して検査ができる場合もありますが、ほとんどの場合はその場で採取してから、その健康状態を目視や機器を使用してチェックします。

・精液検査の実際

精液検査は通常、その場で採取しますが、その際、しっかりとしたサンプルを確保するために、数日間の禁欲生活を行ったのちにマスターベーションをしてもらい、採取します。病院で採取を行う場合は、プライベートな空間と雑誌やDVDが用意されており、安全な環境が整っていますので、不安に感じる必要はありません。

精子は、1回の射精の際に約1~4億個も放出されます。この中のひとつが卵子と結ばれた状態が妊娠です。これだけの数放出された精子も、子宮にたどり着く前に、その多くが死滅してしまいます。卵子の近くまで行ける精子は数百個程度といわれているので、いかに精子の健康状態が妊娠の結果を左右するか、感じていただけるのではないでしょうか。

女性が妊娠するためには、女性の体だけではなく、男性の体にもパワーが備わっていなければなりません。男性の精液・精子の検査をしっかりやっておくことで、不妊治療は正確に、そして効果的になります。現在、男性のブライダルチェックが知られるようになってきたことは、とても喜ばしいことです。

精液・精子の検査項目について

精液の検査では、以下のような項目がチェックされます。

・精液の量

1回の射精における精液全量を調査します。精液の量は多すぎても少なすぎてもよくありません。

・精子の濃度や数

精液に含まれている精子の濃度や数を、目視と機器により調べていきます。

・精子の形

精子には、普通の状態であっても正常な精子と奇形の精子が含まれています。検査においては、正常な精子が含まれている割合をチェックします。

・精子の運動率

精液に含まれている精子のうち、どれだけの割合で活発に運動している精子が含まれているのかを調べます。

精液・精子の検査では、基本的に精液のすべてを調べます。これは、世界保健機関も推奨する精液・精子の検査方法です。これにより、精液がトータルで持つ能力をチェックすることができます。

男性の生殖能力の低下には、主にこれらが関係していますが、困ったことに男性には自覚症状がまったくありません。そのため、長らく妊活に励んでも妊娠の兆候すらみられないということになりがちです。精子の健康状態がよくない場合、それを改善する方法は、すべての人に共通するものではありません。それぞれの人に合った方法で治療を行う必要があります。妊活を成功させるためには、なるべく早く男性もブライダルチェックを行うことが重要です。

カップルの不妊を克服するための治療は、排卵日を予測し、セックスをするタイミングを計るタイミング療法にはじまり、人工授精などの検討をする段階的な方法で行います。時間が経過するほど女性は妊娠しにくい体になってしまうので、男性側の治療を早く行うことはとても重要です。人工授精や体外受精ということになると、経済的な負担も大きくなりますので、妊活をできるだけ早く行い、自然妊娠を目指すことは、カップルにとってさまざまな面で意味があります。

ブライダルチェックは重要・しかし費用は?

ご紹介してきたように、ブライダルチェックは、男性・女性ともに行うことが重要です。男性が不妊の原因となっていることに気づかずに妊活することは、カップルにとって途方もない時間の無駄になってしまうので、妊活をするなら男性の生殖能力も必ずチェックしておきましょう。そこで気になるのが男性のブライダルチェックにかかる費用です。現在、日本で行われている男性のブライダルチェックは、3~5万円ほどが相場だといわれています。この金額で精液や精子の健康状態がわかり、その後の妊活に効果的に生かせるのであれば、決して高い額ではありません。ただ、日本ではようやく、その存在が知られてきた段階ということもあり、どこでも受けられる検査ではないことも事実です。不妊はカップルにとっての問題でもありますが、日本社会の問題でもあります。働き方、ストレス、加齢、環境…これら以外にもさまざまな要素がこの問題の背後にかくれていて、人々を苦しめています。妊活では、女性だけではなく、男性の「妊娠力」が求められます。まず、男性のこの妊娠力を検査しておくことは、妊娠への早道だといえます。

 

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